また、死

うねる海に行った。

夢の中だ。

青い空のした、深いコバルトブルーの海は

うねっていた。

 

龍の大群みたいでしょ。

 

と私は、隣の男に囁いた。

彼を私は知らない。私と結婚することになっているようだが

私は彼を少しも愛していないし、現実にそんな男は存在しない。

 

寒い季節になった。

寒い朝は孤独を私にくれる。

私はその孤独をどうしようもなく、愛している。

 

あの暗い海に行きたいと、ふと思う。

暗闇の中荒れ狂う黒い海、冷たい風と雨が私の体を叩いていた。

あの夜の海。なぜなんだろう。

 

ずっと、そんなことを思うこともなかったし

忘れていた。

 

とても恋しいけれど、行ってはいけない気がする。

 

そしてわかった。ちょうど一年経ったからだと。

あの出来事が何月だったのかさえ覚えていなかったのに、

私の意識が届かないくらい深いところでその記憶はしっかりと時を刻んでいたというのか。

 

再び死が私を誘おうとしている?

どうして?

私は死にたくないのに、また死が私を夜の海に呼ぶ。

おいで。おいでと。

死が囁く、私は死にたくないと答えるのに、どこかで誰かが

私は死にたいという。

 

これなんか、とりつかれてる?

お祓い行こうかな。。