触れてほしくないところに触れてみる。

 

痛い所を突いてみる。

 

聞いてほしくないことを聞いてみる。

 

聞きたくない聞きたくない

見たくない言いたくない。

 

静寂を守りたい

波をたててほしくない。

 

私は温室に逃げ込んだ

美しい花々が咲いている。

愛する人が微笑んでいる。

猫がのどをならしている。

真ん中には、とても美しい泉がある。

 

ここはなんて良い場所だろう。

 

外は荒れ狂う嵐。

本当は知っている。

 

ここは永遠じゃない。

安全じゃない。

ずっといていい場所じゃない。

優しくない。味方でもない。

 

本当に行かなければならない場所は

この温室の外にある。

 

嵐を抜けた先にある。

嵐ばかりじゃない。

この温室にはない美しいものやかけがえのないものがある。

この外は思い通りにはいかないものがいろいろある。

 

その先にある。本当の場所。

 

それをずっと訴えている。

なのに、私はそれを聞き入れない。

外の嵐も知らない。

 

私はここでいい。

そう納得して、いつか壊れる事を

恐れていながら、決してそれを口にだすことはない。

 

でも私は本当はここを出たい。

違和感があるから。

 

なにもかも、ほんの少しだけ歪んでいる。

それが怖い。

私が死ぬのが先か、この温室が崩壊するのが先か。

 

それに私は自分の大切な部分を遠くに置いてきたから

本当はここにいるのはおかしいのかもしれない。