雨
暗い雨が降りしきっていた。
まだ小学生が下校する時間だというのに、あたりは真っ暗。
ある女と男は車に乗り、ある一人の少女を探していた。
この暗闇の、雨の中から
なんとしてもその少女を探し出し、この車に
乗せてあげなければならない。
小学生たちが傘をさし、下をむきながら
口もひらかずにぞろぞろと歩いている。
その横を車でゆっくりと進んだ。
女が1人1人の顔を、車窓から身をのりだして覗き込んでゆく。
違う、、違う、、
暗くてよく見えないが、きっと少女も
この雨の中、下校しているいるはずだ。
早く、救い出さなければ。
少女は抵抗するだろうか?
それともお礼を言い、車に乗り込むだろうか。
やっと、少女を見つけた。
小学生にしては大人びた雰囲気の綺麗な女の子。
長い髪を上品に後ろで結っていた。
女の顔を見た瞬間、少女の顔は恐怖に歪んだ。
ああ、駄目だった。
その表情を確認し、少女を乗せずに
その場を去った。
「 彼女の顔をみた? 」
彼が問う。
「 うん。 やっぱり私たちは死んでいるんだよ。 」
そう返した瞬間、
車は飛び上がり、空中分解した。