堅物くん

やろうと思えば、私はいまからだって好きな人に想いを伝えられる。

行こうと思えば飛行機のチケットを買って、日本から抜け出すことができる

街で突然、熱唱することだってできる。

できるけどやらない。

できるけど、やりたいけどやらないことってたくさんある。

私の中にいる堅物くんがそれらを強く規制する。

でも、でも、でも、それが口癖。

そいつはとてもつまらない奴で、とても臆病者だ。

とても慎重で、石橋を叩いて、叩いて、叩きまくる。

メリットはただ一つ、何もかも諦めた先の(安全)それだけ。

とりわけそいつの権力が何故か強い。

そういう性といっていい。

そういう自分が嫌い。

だから私はそいつが檻に閉じ込めている(好奇心)をなんとか脱出させる方法を

考えている。

こうしている間にも時間は流れる。

年を取るほどに堅物くんは調子付く。

そういう要素が増えてくるから、多分はやくなんとかしないとまずい。

檻を開ける方法、それは実行することだろう。

気持ちなんて関係ない、堅物くんの命令だって無視をする

多分、それは社会的に犯罪ではなくても

私の中では犯罪だ。

堅物くんの法律を破れば、私の安全は崩壊する。

これは危険なことだ。

罪悪感も伴うだろう。

でもどこかで吹っ切らなければ

私は一生、堅物くんのいいなりで、つまらない人生を送ることになるだろう。

自分の中の安全を壊す。

そんなことをしなければいけない。