笑いについて。
笑いにも沢山あるけれど、特に お笑い は悲劇を喜劇に変えるという
圧倒的魔力みたいなものがある。
辛い時や怖い時、私は脳内にお笑い芸人を登場させる。
するとたちまち場が明るくなって、自分が抱えている悩みなんか
ちっぽけに思えてくる。
こうしたお笑いは大概、根本的問題を解決するほどの力はないけれど
気休めにはなるし、煮詰まりすぎた恐怖を希釈してくれる。
お笑い芸人は意外と波瀾万丈な人生を送ってきた人が多いと
聞いた事があるけれど、それにも納得できる。
ただそれはドラックにもなる。
お笑いはうまく使わないといけないと思う。
「 少年は残酷な弓を射る 」という映画の中で、
父だけがいつも笑っていた。
それは全く見当違いで、端から見るととても哀れに見えた。
臭いものをむりやり笑いという手段を使って蓋をしたように、自分を
必死にだますように笑っているように見えて悲しかった。
結果、彼は大切なものを失った。
自分で捻り出した笑い。
他人が捻り出した笑い。
それは、敵でも味方でもない。
でも当分、私の頭の中にはお笑い芸人が居座るだろう。