人という共通点
嫌いな人がいる。
好きな人がいる。
話した事もない人がいる。
言葉が全く通じない人がいる。
私は自分以外の人が苦手だ。
何を考えているかわからないからだ。
自分なら何を考えているか筒抜けなので、あまり怖くない。
いきなり泣き出す人なんて恐ろしすぎる。
笑っていたと思ったら、怒られていた。
嫌われていたと思ったら、好かれていた。
人はわからないから苦手だ。嫌いなわけではなくて苦手だ。
また、同時に私以外の人にとって、私は他人だ。
私だって何を考えているのかわからない未知の生物なんだ。
そんなふうに私は他人を宇宙人みたいに思っている。
完全に分かち合う事はできないと思っている。
テレビをみて同時に笑った時、奇妙だと思う。
私たちはまったく違うものなのに、人間であるという大きな共通点を
もっている。
電車のなかで誰かの髪が頬に触れた時、奇妙だと思う。
他人は苦手だけれど、ああ仲間だと思う。
誰かが私の手を握るとき、そこから伝わる温度やほのかな湿り気を奇妙だと思う。
ああ人間なんだ。わたしたちは同じ人間なんだと思う。
誰かに触れられるのは嫌いじゃない。
私は他人が苦手なわりに、触られるのは嫌いじゃない。
むしろその方がいい。
その人が目の前にいても、触れるまではそれを信じられない。
意思が伝わらなくてもいい。同じ人間という共通点があればそれでいい。