自由な人に憧れる。

 

ヒッピー、トレインホッパー、世捨て人、バックパッカー

 

私は綺麗好きで、臆病者だから決してそんな生き方は向いていないだろう。

そう思うからこそ、どうしてもそんな人たちに尊いものを感じてしまう。

 

彼らの抱く悩みと、私が抱く悩みはまるで違う。

私が抱く悩みなど、彼らはとっくに捨ててしまった。

 

あるバックパッカーの写真を見た。

 

女の子のパンツに生理の血が滲んでいて、

でもそれを気にもせずミニスカートをはいて

泥まみれで眠っていた。

 

私はそれを見て、そのあまりにも解き放たれた人間を

とても愛おしく思った。

 

私にはそんなことはできない。

私は人間として生まれ、人間として育ち、人間の世界に順応し、

誰かに不快感を与える事を極端に恐れて生きてきた。

 

八方美人でだれにでも媚を売りながら、誰かに傷つけられるのではないかと

毎日びくびくしながら生きている。

 

人の目に恐怖を感じる人はきっと神経が疲れきってしまう。

 

私は自分で、自分を気の毒に思う。

あまりにも臆病で。

 

だからこそ私は彼らが愛おしい。

 

自分勝手で、不潔で、無責任で、でも自分に正直で、自由を知っている。

世の中の汚さを知っている。それを受け入れて、あるいわそれを捨てた。

 

私は家も、今の環境も、便利な暮らしも、飽食も、バックに入りきらない本も

、服も、アクセサリーも、このパソコンも、将来も、愛する人も

 

何一つ捨てられない。

 

海をみて、自分のくだらなさや小ささや無意味さを思い知らされて

泣いて泣き尽くしたって、何も捨てられない。