私は君を忘れ、君も私を忘れる。

どちらが先に忘れるか。そんなことはどうだっていい。

いずれ忘れ合う。

今だって私たちはただの他人だけど、

これからもっと他人になれる。

傷つけ合うことはない。

いや、傷つくのはどうせ私だけだった。

君が傷つく予定なんてどこにもなかった。

君だってそれはわかっていて私に会った。

私が傷ついたことを君はきっと知らない。

もしかしたら君は少しだけ傷ついたかもしれない。

いや、そんなことはない。

これじゃ不公平だから、君にも傷ついて欲しいけど、君は絶対傷ついたりしないよ。

君なら私をすぐに忘れられる。

でも、今、君の感情なんて私の知ったことではない。

私は私を守った。

君から守った。

知りたくない結末を回避した。

私が傷つかないように。

こうして、君を想う回数は減ってゆく

そして他人になれる。

すぐに手を切ったから、すぐにそうなるだろう。

遠くに逃げよう。

誰かを好きになる前に、その気配があれば

すぐに逃げよう。

傷つく前に。

卑怯?

そうかな?

本当にそう言える?

私はそうは思わない。

君には関係ない。

君はもうすでに私の中から締め出されたよ。

鍵は壊せるかもしれないけど、君は壊しに来ない。

わかってる。

君は私をすぐに忘れてしまう。

だから、私も忘れてしまおう。

できれば、君よりもずっとずっと早く。